営業担当者には、お客様の考えを理解する力、相手に分かりやすく伝える力、状況に応じて判断する力など、さまざまな能力が求められます。
はじめに
お客様の考えを理解する力、相手に分かりやすく伝える力、状況に応じて判断する力などの力は、日々の営業活動を通じて身に付いていきます。
しかし、読書によって新しい知識や考え方に触れ、それらの力を身に付けることもできます。自分とは異なる業界で働く人の経験や、さまざまな時代を生きた人物の考え方を知ることで、営業活動を見直すきっかけになったり、ならなかったりします。少なくとも人間としての幅は広がります。
人との関わり方を考える本、企業や社会への理解を深める本、仕事への向き合い方を学ぶ本など、幅広いジャンルの本が営業活動に役立ちます。今回はそんな本を少し、あっさり気味に紹介します。
もちろん、スマホで読んでも十分に良いのですが、たまには昭和のオッサンライクに紙の本も読んでみましょう。紙の本に触れるという経験そのものが新しい可能性への道標になったり、ならなかったりします。
営業のノウハウ本
営業担当者がまず読むべき本の1つが、営業の基本を学べる本です。いわゆる営業のノウハウ本です。
営業の基本は先輩や上司が教えてくれるかもしれませんが、「見て学べ」という昭和ライクな職場では教えてくれません。しかし、営業のノウハウ本なら商談の進め方、質問の方法、提案の仕方、契約までの流れなど、営業活動の基本を学べます。先輩や上司が親切ていねいに教えてくれる職場に勤務している人も、もしかすると先輩や上司が言ってくれなかったことをも学べるかもしてません。
ただ、本に書かれている方法をそのまま使うだけではなく、自分の営業スタイルや扱う商品に合わせてアレンジしたり、大事なポイントを取り入れることが大切です。
話し方や文章術の本
営業では、伝えたい内容を相手に理解してもらうことが重要です。商談だけでなく、電話、メール、提案書など、さまざまな場面で言葉を使います。伝える力を高めることは、営業活動全体の質を高めることにつながります。
話し方や文章術に関する本では、話の組み立て方、相手が理解しやすい説明方法、資料やメールでの伝え方などを学べます。
心理学の本
営業では、お客様がなぜその判断をするのかを考えることが重要です。
お客様はこちらが提案した商品やサービスに対して、自社に合っているか、導入後に問題がないか、それから営業担当者を信頼できるかなど、さまざまな要素を考えます。
心理学の本を読むことで、人が判断するときの考え方や、相手の行動の背景を理解する視点を得られます。例えば、お客様がすぐに購入を決めない場合でも、単純に興味がないとは限りません。社内で検討する必要がある、導入後の不安がある、判断材料が不足しているなど、さまざまな理由が考えられます。そういった相手の行動の理由を考え、お客様との会話を深めることが肝心なのです。心理学の知識は、そうした「相手の行動の理由を考える」助けになるはずです。
マーケティングや経営の本
営業担当者は、お客様の事業について理解することも大切です。マーケティングや経営に関する本では、市場の動き、顧客のニーズ、企業が抱える課題について学べます。
例えば、同じ商品を提案する場合でも、お客様の業界や会社の状況によって求められる価値は変わります。経営やマーケティングの視点を持つことで「お客様の課題にどのように関われるか」という視点で営業活動を考えられるようになるはずです。
小説
小説は営業とは直接関係がないように見えますが、人を理解する力を磨くうえで役立ちます。小説には、登場人物の感情や考え方、人間関係の変化が細かく描かれています。一方、営業ではお客様の発言の背景にある考えや気持ちを読み取る場面があります。人は必ずしも自分の考えをすべて言葉にするわけではありません。小説を読むことは、相手の立場を想像する習慣を身に付けるきっかけになるのではないでしょうか。
特に、仕事、人間関係、交渉などを描いた作品では、立場の違う人同士がどのように関係を築くのかを読むことができます。
漫画
漫画には、営業やビジネスを題材にしたものもあります。
営業や会社経営を扱った漫画では、交渉の進め方、組織の動き、人との関係づくりを具体的な場面から学べます。
また、スポーツ漫画や職人を描いた漫画のキャラクターの、目標に向かって努力する姿勢、相手の期待に応える考え方、周囲と協力して成果を出す様子などは、営業活動にも生かせます。
漫画は場面をイメージしやすいため、仕事への向き合い方をイメージしやすくなるかもしれません。
それに、漫画は今や世代に関係なく、驚くべきほど普及しています。取引先の担当者が読んでいる漫画を話題にして、相手との距離が縮まらないとも限りません。
歴史書
歴史書では、過去の人物や出来事を通じて、人がどのように判断し、行動してきたのかを知ることができます。歴史の中には、異なる立場の人同士が交渉し、協力関係を築いた場面が数多くあります。
営業でも、お客様と自社では立場や考え方が異なることがあります。その中で、相手の状況を理解し、双方にとって納得できる関係を築くことが求められます。
歴史書を読むことで、目の前の状況だけを見るのではなく、背景や流れを考える力を養えます。歴史からは多くのことを学べるでしょう。
また、歴史と言えば戦国武将の本も欠かせません。戦国武将の戦略は現代のビジネスに通じるところもあり、昭和世代の経営者の多くは、お気に入りの戦国武将が1人や2人はいたと言います。
歴史書から戦国武将の戦略や生き様を学ぶのも良いですし、戦国武将好きな経営者と意気投合するのも良いですね。
伝記や人物評伝
伝記や人物評伝では、さまざまな分野で成果を出した人物の考え方や行動を知ることができます。事業で名を成した実業家の本もあります。そうした本では、成功した結果だけでなく、どのような判断を重ね、周囲とどのような関係を築いてきたのかを見ることができます。
営業でも、成果だけを見るのではなく、その成果につながった準備や行動を考えることが大切です。他者の経験を知ることで、自分の仕事への向き合い方を見直すきっかけになるのではないでしょうか。
ノンフィクションやルポルタージュ
ノンフィクションやルポルタージュは、実際の人物や出来事を扱った本です。自分とは異なる業界で働く人の経験や、社会が抱える課題を描くものもあり、読むと社会や仕事を見る視野を広げられるかもしれません。自分の経験だけでは分からない仕事や考え方を知ることが、お客様理解にもつながるはずです。
対談集やエッセイ
対談集やエッセイでは、さまざまな分野で活動する人の考え方や経験を知ることができます。特にエッセイには、著者の内なる思考を垣間見ることができるものあります。
とにかく対談集やエッセイでは、仕事への姿勢、人との関わり方、失敗から得た学びなど、実際の経験に基づいた考え方に触れられることがあります。
営業先のお客様も、それぞれに価値観や考え方が異なりがちです。多くの人の考え方を知ることで、相手に合わせて対応する柔軟さを身に付ける助けになるのではないでしょうか。
また、対談集では対談の参加者がお互いに質問を重ね、お互いに回答を重ねていきます。質問者は相手の本質を聞き出すことに成功したりします。そういう対談は、きっと営業での商談にも生かせるはずです。
哲学・思想の本
哲学や思想の本は、哲学や思想を解きほぐしたりします。
哲学を学ぶことで、1つの答えだけを求めるのではなく、さまざまな視点から物事を見る力を養えます。思想を学ぶと、いろいろな人のそれぞれの価値観に触れることもできます。自分とは異なる価値観を持つ相手と向き合う姿勢も身に付きます。
哲学や思想を学ぶことは、他者の立場、つまり営業では商談相手の立場の考えを読み解いたり、その思考の道すじを考える一助になるかもしれません。お客様との信頼関係を築くために必要な考え方につながります。
ベストセラー
ベストセラーは多くの人が読みます。多くの人が読むからベストセラーになるわけです。
営業先の担当者が読んでいる可能性も高いです。読んでおくと、会話のきっかけになります。
ロングセラー
ロングセラーは多くの人が読みます。長く売れている本なので、多くの人が読む可能性が高いわけです。
当然、営業先の担当者が読んでいる可能性も高いです。読んでおくと、会話のきっかけになります。
まとめ
さまざまなジャンルの本が営業活動に役立つ可能性を持っています。どんな本でも大切なのは、自分の営業活動に結び付けて考えることです。さらに言うと、本に限らず、すべてのことから「営業に生かせること」を学ぶ姿勢を忘れてはいきません。重要なのは「本に何が書いてあるか」ではなく「何からでも営業に生かせる何かを学んでやる」という姿勢です。
ベストセラーのビジネス書を読んで「くだらん」と捨てることもできる一方、スーパーマーケットのチラシから宇宙の真理を見つけても良いわけです。肝心なのは読む人の姿勢なのですから。
もう、こんな記事なんかは「なかったこと」にして、ジャンルなどにはこだわらず、タイパやコスパは忘れて「世界中のすべての本を読んでやる」くらいの意気込みで、手当たり次第に本なら何でも読んじゃってください。


