営業職は「数字に追われる」「成果が出なければ厳しい」といったイメージを持たれやすい仕事です。実際に営業として働く人の多くが、「この仕事に安定はあるのだろうか」と感じます。「ひょっとして安定はないのじゃないだろうか」と不安になります。
なぜ不安になるのかというと、多くの人が「安定」を望んでいるからです。
はじめに
営業職は不安定な側面があるため、「不安定を楽しめる人が向いている」と思われがちです。つまり、「安定」を望む多くの人には向かないとも言えるわけです。
今回は、そんな営業職の現状や将来展望、安定の定義、キャリアパスの多様性などについてさらりとお話しします。これから営業職を目指す人や、現職の人にも役立つ情報が盛ってありますので、参考にすると良いのではないでしょうか。どうでしょう?
営業職の現状と将来展望
営業職は、企業の売上を支える中心的な役割として今も高い需要があります。デジタル化が進む現在でも、顧客理解や関係構築といった人間的なスキルはAIでは代替されにくく、営業の価値はむしろ高まっています。
一方で、オンライン商談やデータ活用がごく一般的になり、営業にはより高度な分析力や提案力が求められるようになっています。今後は、顧客にとっての価値を継続的に生み出す役割が、さらに営業職に求められるようになるはずです。営業職は変化の大きい仕事ですが、スキルの汎用性は高く、つまりスキルの使い道が幅広く、将来性のある職種なのです。
何だか、営業に「安定はある」と思えてきます。
営業職が安定しないとはどういう状態?
ここでは一旦、営業に「安定はない」という前提で話を進めます。
営業職における「安定」とは、一体何を指すのでしょうか? 「安定している」と聞けば、一般的には、収入が安定していることや、雇用が保証されていることをイメージします。営業職の場合、成果主義に基づく報酬体系が多く存在するため、単純に「月収は安定している」とは言いにくいです。
つまり、営業職が安定しないとは、仕事の結果・評価・収入・働き方が一定になりにくい状態が続くことを指します。
具体的には次のような状態です。
成果が毎月変わりやすい
営業は、売上や成約件数などの数字が毎月変動します。良い月もあれば悪い月もあり、成果が一定になりにくいのが特徴です。
評価が固定されにくい
売上や成約件数などの成果が変動するので、当然、評価も変動します。営業の評価は数字に直結しますから。
成果が変われば評価も変わり、評価が揺れ動く状態が続きます。
収入が安定しにくい
評価が変動すれば収入も変動します。営業職は報奨金や歩合があることが多く、成果によって収入が上下するのです。
つまり、毎月ほぼ同じ給料を得られるとは限らないということですす。
仕事量や忙しさが一定にならない
営業は、顧客の状況や市場の動きによって忙しさが変わります。新規案件が増えると忙しくなりますし、失注が続くと営業活動を増やす必要が出てきます。会社の方針変更で担当先が変わることもあります。
このように働き方が一定になりにくいのも営業職の特徴です。
外部要因で状況が変わる
営業の成果は、自分の努力だけでは決まりません。景気、競合の動き、価格競争、会社の戦略変更などの要因で働き方が左右され、成果も変わり、収入も変わることがあります。
結局、営業職に安定は存在しないのか?
じゃあ「営業はずっと不安定なのか」と思うかもしれませんが、営業職には実は別の形の安定が存在します。
スキルとしての安定
営業で身につくスキルは、どの業界でも必要とされます。すなわち「顧客との関係構築力」「課題を聞き出す力」「提案を組み立てる力」「数字を追い、改善する力」は会社が変わっても通用するため、スキル面ではむしろ安定しやすい職種だと言えます。
「転職に強い」という安定
営業経験者は、転職市場で常に需要があります。営業職は求人数が多く、経験者は優遇され、業界をまたいだ転職がしやすいので、仕事がなくなるリスクが低いという意味で安定しています。
今は多くの業界が人手不足なので、多くの職業で「転職しやすい」というメリットはあるかもしれませんが。
「経験が資産になる」という安定
営業は、経験を積むほど強くなる仕事です。他の多くの職業がそうですが。
例えば顧客との信頼、業界知識、提案の引き出し、紹介や口コミは年数とともに蓄積され、営業経験者の価値を高めます。
多様なキャリア
営業職は「ずっと数字を追い続けるだけの仕事」ではありません。実は、キャリアの選択肢は幅広い職種です。
以下は代表的なキャリアパスです。
営業を極める
新規営業のスペシャリスト、既存深耕、要するに既存顧客との関係を深めることのスペシャリスト、大手企業担当、コンサル型営業と、営業を極めるほど、単価の高い商材や大手企業を担当できるようになり、収入も安定しやすくなります。
マネジメントでキャリアを積む
リーダー、マネージャー、営業部長と昇進していくと、仕事はチーム育成や戦略立案が中心になります。組織を動かす力が身につき、キャリアの幅が広がります。
企画・マーケティングへ転職
営業経験は、顧客理解が深いため企画職と相性が良いです。商品企画、営業企画、マーケティング、カスタマーサクセスといった部署でも「顧客の声を知っている」という強みを生かせます。
コンサルタントへの転身
営業で培ったヒアリング力、提案力はコンサルタントに求められるスキルと非常に近いスキルです。業務改善コンサルタント、ITコンサルタント、人材コンサルタントなどに営業経験者が転職するケースは多いです。
独立してフリーランスに
営業は「自分で仕事を取る力」があるため、独立しやすい職種です。独立して営業代行、営業コンサルタント、営業支援を始めるなど、会社に依存しない働き方も選べます。
まとめ
営業職は、成果・評価・収入・働き方が揺れ動きやすく、「仕事の状態が一定になりにくい」という意味で安定しない仕事です。しかし、「スキルとしての安定」「転職市場での安定」「経験が資産になる安定」「多様なキャリアパスによる安定」という、別の形の安定が確かに存在します。
営業職は、環境に左右される仕事でありながら、自分の力でキャリアを安定させられる職種なのです。営業職は不安定と安定が同時に存在する仕事なのかもしれません。

